お内裏様とお雛様という言い方は間違えている|雛人形・五月人形・浮世人形なら真多呂人形~大正8年創業~

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お内裏様とお雛様という言い方は間違えている

ひな祭りの歌として多くの人に知られている、童謡の「うれしいひなまつり」は、
聴いたことのない方を探すほうが難しいほどの
大ヒットナンバーと言っても過言ではないでしょう。
ところが皮肉なことに、この曲が広まったことによって、
実際には間違っていることが、さも真実のごとく浸透してしまったのです。

お内裏様はふたりです

「うれしいひなまつり」の歌詞では、
「お内裏様とお雛様がふたり並んでいる」様子が描かれています。

そもそも内裏(だいり)とは、天皇の私的区域の名称です。
その中に紫宸殿(ししんでん)という、
元服や立太子などの儀式が行われていた場所があるのですが、
雛人形はその紫宸殿にて行われた天皇と皇后の結婚の儀をベースとして飾られています。

ということは、お内裏様というのはひとりではなく、
お殿様とお姫様のふたりというのが正解なのです。
そしてお雛様に関しても、男雛と女雛のふたりで一対というのを表していることから、
お内裏様とお雛様が並んだ状態というのは、
ふたりではなく「4人」ということになってしまうのかもしれません。

右大臣ではありません

「うれしいひなまつり」の歌詞には、「赤いお顔の右大臣」という箇所があります。

★左近衛中将(さこのえちゅうじょう)

もともと右大臣や左大臣というのは公卿です。
公卿は武官束帯を着用しないため、歌詞の中での右大臣は、
本来ならば「左近衛中将」(さこのえちゅうじょう)
というのが正式名称なのではないかと言われています。
※雛人形では随身(ずいじん)と呼ばれる方が一般的なようです。

★左右の違い

基本的にお雛様の左右は、お殿様から見ての左右です。
そのため、歌詞の中では「左右逆転現象」が起こってしまったとも言えるのかもしれません。
例えば京都市の左京区と右京区の並びを地図で見ますと、
右側に左京区があり、左側に右京区が位置します。
これは平安京の内裏より天皇が見た(政務を行った)ということから、
東が左となり西が右となったのです。
同様に、雛飾りにもある「左近の桜と右近の橘」も、
建物の中から「天皇が見た」ということからきています。