八朔のひな祭りは8月1日|雛人形・五月人形・浮世人形なら真多呂人形~大正8年創業~

真多呂人形のコラム

八朔のひな祭りは8月1日

3月3日に行われない「ひな祭り」

「ひな祭り」といえば、基本的には3月3日に行われるのが通例です。
沖縄では「旧暦」の3月3日がひな祭りに相当する「浜下り」となっていますが、
これも旧暦とは言え3月3日であることには変わりありません。
しかし、地方によっては3月3日からかけ離れた「八朔」にひな祭りを行う風習があるのです。

兵庫県たつの市御津町室津地区

この地方では、3月3日にひな祭りは行わず、
八朔(旧暦の8月1日)にひな祭りを行う「八朔のひな祭り」が有名です。
永禄9年(1566年)1月11日、この地の室山城の城主である浦上政宗の次男である
浦上清宗と、志織姫との婚礼の夜、
浦上家と対立していた龍野城主である赤松政秀の急襲を受け、
結果として政宗も清宗も姫も討ち死に(志織姫は生存していたという説もある)
してしまいました。
領民はこれを悲しみ、それから間もない3月3日にひな祭りをすることを控え、
これを延期して姫の鎮魂を行いました。
代わりに、半年先の八朔にひな祭りを行ったのが始まりです。
この風習、近年までは廃れていましたが、2002年に復活し、毎年催し物が開かれています。
比較的近年に復活したこの風習が有名になったのには、
実は清宗に嫁いだ志織姫の兄が関係しています。
志織姫の兄は「黒田考高」、通称「黒田官兵衛」です。
2014年に人気を集めた大河ドラマ「軍師官兵衛」の主人公として一躍有名人となるのですが、
その中にこの悲劇のストーリーが盛り込まれていたのです。
視聴率の高かった同ドラマの影響もあってか、八朔のひな祭りは有名になりました。

香川県三豊市仁尾町

知名度は高くありませんが、室津のひな祭りと同様の理由で八朔にひな祭りが行われています。
1579年3月3日、土佐の長宗我部元親によって仁尾城が落城しました。
ゆえにその日にはひな祭りは行えず、八朔の日に雛人形が飾られるようになったのです。
この日は雛人形の他に男子の節句のために主に武将の人形も飾られます。
こちらも長らく途絶えていた風習ですが、
1998年に「仁尾八朔人形まつり」として復活し、以後は毎年9月に行われています。