今でも歌い継がれている童謡「うれしいひなまつり」には間違いが?|雛人形・五月人形・浮世人形なら真多呂人形~大正8年創業~

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今でも歌い継がれている童謡「うれしいひなまつり」には間違いが?

全体的なイメージがおかしい

3月3日のひな祭りに歌う曲といえば「うれしいひなまつり」ですね。
この日の数週間前から、BGMとして流している店舗も多いのではないでしょうか。
ある意味で春の訪れを予感させてくれる歌なのですが、
実は大きな間違いが数多く存在するのです。
まず、全体的なイメージです。
タイトルにもある「うれしい」というイメージ、この曲を歌詞なしで聞いてみた時に、
果たして皆さんこの曲を心浮き立つイメージを持つ曲として捉えることが出来るでしょうか。
少し専門的な話をすれば、この曲は西洋音楽的な分類では「短調」に該当します。
それゆえに日本情緒が表れているという評価もある一方で、
この曲が短調で作られているのにはある理由があるという説があります。
作詞者であるサトウハチローの姉は、18歳の時に結婚が決まったのですが、
嫁いですぐに病気(結核)で亡くなったため、
亡き姉への鎮魂歌的な意味合いがあるのではないかというのです。
実際、歌詞にもある「お嫁にいらした姉様に、よく似た官女の白い顔」とありますが、
これは化粧で白い顔をしているのではなく、
結核が進行して顔面が蒼白になったと捉えることもできるのです。
「うれしい」というイメージとは程遠いですね。
とは言え、作詞したタイミングとしては、
作詞者が娘に雛人形を買い与えた前後であることから、
鎮魂歌の意味合いは薄いようにも思います。

「お内裏さまとおひなさま」は間違い

この言い方だと「お内裏さま」は男性を指すようになります。
しかし「内裏」のもともとの意味は「天皇皇后両陛下のお住まいになる御所」のことで、
男性のみを指す言葉として使うのは間違いなのです。
この曲において「お内裏さま」と言うのであれば、
両陛下、つまり男性も女性も一括りで言い表しているため、
そのあとに「おひなさま」と歌詞が続くのは、意味合いとしておかしいのです。
「赤いお顔の右大臣」は間違い

歌詞には「少し白酒召されたか、赤いお顔の右大臣」とあります。
白酒は一般的にはアルコール度数は9%ほどなので、
少し飲んだとしても顔が赤くなるのは間違ってはいません。
何が間違っているかと言えば、顔を赤くしている人のこと、
つまり「右大臣」です。雛人形の左右は殿様から見ての左右なので、
一般的な雛人形では右大臣は顔が白いのです。
顔が色付けされているものもありますが、
それは一般的には殿様から見て左側、つまり「左大臣」なのです。