男雛の髪かざりについて|雛人形・五月人形・浮世人形なら真多呂人形~大正8年創業~

真多呂人形のコラム

男雛の髪かざりについて

男雛の髪かざりは、冠(かんむり)です。
しばしば烏帽子(えぼし)と混同されて記載されている場合があるので、注意が必要です。

冠(かんむり)

冠(かんむり)は、朝廷に出仕する際の公式な制服の一部です。

★甲(または額)

ちょうど頭に乗せるあたりの、前方の箇所が甲もしくは額です。
透額(すきびたい)は、この部分に開穴して熱を逃がすようにしています。
穴は開けたままではなく、その上部に羅(薄い絹)を張って覆います。

★巾子(こじ)

冠の後部にて高くそびえ立つ纓(えい)の手前の部分です。
この巾子(こじ)に髻(もとどり)を入れ、
左右より簪(かんざし)を差し貫くことで冠の固定を行います。
簪(かんざし)は別名、角(つの)もしくは笄(こうがい)とも呼ばれています。

★纓(えい)

冠の後部(巾子の後)に立つ、羽根を感じさせる部分です。
以前は鯨のひげを使って作られていましたが、
現代においては樹脂を使用して枠を作り、羅を張って仕上げます。

烏帽子(えぼし)

冠が公的な髪かざりとすると、烏帽子は普段の髪かざりということになります。

★錆(さび)

烏帽子全体のしわのことをいいます。

★峯(みね)

中心部の継ぎ目の名称です。

★雛頭(ひながしら)

前面の突起部分の呼び名です。

★眉(まゆ)

雛頭の下にある折り目のことです。
若年期においては、左右両方に折り目がついた諸眉(もろまゆ)を使用し、
成年以降は左眉を使用したそうです。右眉は上皇だけが使用していましたが、
上皇より許しを得た家のみ右眉を使うことができました。

★風口(かざぐち)

かぶった時に頭との間にできる隙間の部分のことです。

★小結(こゆい)
左右の縁(ふち)の内側についている紐(ひも)のことを指します。
ここをしばることで、サイズの調整を行います。

烏帽子の変遷

平安時代においては、羅(薄い絹)で作られた袋状のものに
漆(うるし)仕上げをしています。
後年のタイプと比較すると、高めとなっているのが特徴です。
鎌倉時代あたりから徐々に高さが抑えられていき、
江戸時代になりますと、羅製ではなく、
しわをつけた紙製のものに漆仕上げをした箱型へと変わりました。