華宝立雛とは
桃の節句という佳き日を晴れやかに寿ぐ、真多呂作の立雛飾りです。ふわりと丸みを帯びた輪郭に、静かな微笑みをたたえた表情が印象的。
熟練の筆遣いによって描かれた優美な面相には、伝統工芸品ならではの奥ゆかしい気品が漂い、大切なお嬢様の健やかな歩みを温かく見守ってくれます。 本作の特筆すべき点は、飾る際の実用性と見栄えを両立させた絶妙なバランス設計にあります。お人形そのものはしっかりと見ごたえのある堂々としたサイズ感で製作されている一方、舞台となる黒塗りの台と金屏風は極力コンパクトな造りにまとめられました。これにより、飾るスペースを最小限に抑えながらも、雛人形本来の重厚感や豪華さを一切損なうことなく、現代の洋間やリビングへ手軽にお飾りいただけます。
すっと背筋の伸びた立雛ならではの伸びやかなプロポーションには、真多呂の卓越した木目込み技術が光ります。お殿様の袖が描く力強い直線美と、お姫様の裾に向かって広がるたおやかなシルエットが見事なコントラストを生み出しています。研ぎ澄まされたシンプルな造形だからこそ、木目込み本来のなめらかな美しさが際立つ仕上がりです。
そして、このお雛様の価値をさらに高めているのが、美術織物としても名高い最高級「本金佐賀錦」の衣裳です。深緑色を基調としたお殿様の袴や、鮮やかなオレンジ色が目を惹くお姫様の装束には、本金の糸を用いた精緻な文様が織り込まれており、光の加減で格調高く煌めきます。絢爛な織物と端正なお人形が見事に調和した、末永く受け継ぐにふさわしい珠玉の逸品です。
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