雛人形に飾られている御所車とは?
御所車
雛人形にて飾られている御所車は、牛車とも呼ばれており、
平安時代の身分の高い方(皇族や貴族)の乗り物だったようです。
そのことから、「玉の輿に乗れますように」「裕福な家庭に嫁げますように」
との願いが込められているのではないかとも言われています。
主にひな壇の下の方に配置されているようです。
御所車の名称
御所車は、乗る方の身分によって種類や呼び名の違いがありました。
★唐庇車(からびさしのくるま)
牛車の中でも最高級のものであり、皇族もしくは摂政、
関白といった方々がここぞという時(ハレの日)に乗ることが多かったようです。
★雨眉車(あままゆのくるま)
摂政や関白が、直衣姿の際に乗っていたものです。
★檳榔庇車(びろうびさしのくるま)
上皇や親王、摂関や大臣が乗っていたようです。
★檳榔毛車(びろうげのくるま)
主に上皇以下の四位以上の貴族が乗っていましたが、
入内していた女房や高僧が乗ることもありました。
★糸毛車(いとげのくるま)
皇后や中宮、東宮が乗っていたのが、青糸車です。
紫糸車には、女御や更衣、尚侍や典侍が乗っていました。
そして赤糸車は、女使が賀茂祭りの時に乗っていたようです。
★半蔀車(はじとみのくるま)
上皇や摂関、大臣や大将が乗っていたようです。
★網代車(あじろのくるま)
家紋がつけられた車(上白(うわじろ)の車もしくは袖白の車)には、
大臣が乗っていたようです。
比較的数が多かったことから、上流貴族がお忍びにて乗っていたこともあったそうです。
★八葉車(はちようのくるま)
公卿や大臣、地下などが乗っていた網代車です。
★網代庇車(あじろびさしのくるま)
網代車の一種であり、親王や摂関、
大臣や大将といった位の方が乗っていたようです。
★黒莚車(くろむしろのくるま)
公卿が喪中の際に使っていたものです。
★金作車(こがねづくりのくるま)
金具に使われていた金属によって身分が異なりました。
典侍が金造りの糸毛車、女蔵人が金造りの檳榔毛車、
命婦が銀造りの糸毛車に乗っていたようです。
★飾車(かざりぐるま)
賀茂の祭りの勅使や御禊の前駆であったり、
殿上人が祭りを見物するために使われていたようです。
金銀や珠玉などできらびやかに飾り付けられていたのが特徴です。
★板車
当初は身分に関わらず使われていたようですが、
一条天皇の頃に六位専用の車となったようです。板張りの箱型が特徴です。