雛人形が飾られる際に必要な緋毛氈とは?
雛人形を飾る時には、ひな壇に緋毛氈(ひもうせん)を敷いてから行います。
雛人形に緋毛氈が使われた理由として、緋色(ひいろ)には生命力の意味があることから、
魔除けの効果を期待したためと言われています。
毛氈
毛氈は、羊などの毛に熱や湿気、摩擦や圧力をかけることで、
繊維を密着させ織物状に仕上げたもので、フェルトとも呼ばれています。
現存する最も古い時代の毛氈は、奈良時代に新羅(現在の朝鮮半島)
から伝わったものと言われており、正倉院(東大寺)に納められています。
★緋毛氈
毛氈の中でも緋色のタイプです。
雛飾りで使われるのはもちろんのこと、茶道や寺院などでも使われています。
★色の種類
一般的には緋色の毛氈(緋毛氈)や、
五月人形を飾る際に使われる緑色の毛氈が知られているのですが、
実際には白色や紺色だけでなく、柄物の毛氈もあるようです。
★材料
羊毛の他にも、山羊、うさぎ、牛やラクダなども使われます。
緋色(ひいろ)
緋色は、濃くて明るめの赤であり、深紅色やスカーレットとも称されます。
また、銅器に着色する鳶色(とびいろ)とも表現されます。
そして他には「あけ」と呼ばれることもあります。
★深緋(ふかひ、こきあけ、こきひ)
茜と紫根(しこん)にて染められたものです。
延喜式(平安時代の法律のようなもの)によると、
紫に次ぐ官位を示すための官服に使われました。
★浅緋(あさあけ)
茜で染められた濃い目の赤のことをいいます。
深緋の次の官位を示すために用いられました。
魔除けと桃の花
緋毛氈(ひもうせん)の他に、魔除けの効果を期待したものといえば、桃の花があります。
桃の花といえば、綺麗で可愛いのはもちろんのこと、和やかな春の雰囲気がイメージされますが、
古くから邪気祓(はら)いや魔除け、不老長寿や不老不死といった力があると言われていました。
ちなみにひな祭りの飾りには、ハナモモの花が使われます。
ハナモモはピンクや白や赤といった、八重桜より少し大きめの花が咲きます。