雛人形に飾られている懸盤膳(かけばんぜん)とは?
雛人形の四段目に菱台とともに飾られるものに、懸盤膳(かけばんぜん)があります。
懸盤膳(かけばんぜん)
懸盤膳とは、高級なお膳の型です。
懸盤膳では、上の右に平椀(おひら)、下の右に汁椀、中央に腰高(高坏・たかつき)、
上の左に壷椀(おつぼ)、下の左に飯椀という置き方をします。
懸盤膳に湯桶と飯櫃(めしびつ)がついたものは、両つぎ付と呼ばれます。
★平椀(おひら)
平椀(底の浅い平たいお椀)に盛られた料理のことをいいます。
★腰高(高坏・たかつき)
食べ物を盛るために使われる、高足のついた小さい台のことをいいます。
※雛飾りにて使う高坏は、和菓子や紅白の丸餅(二段重ね)を乗せるために使います。
上級な身分の方に献上する際に使われる器です。
★湯桶(ゆとう)
お酒やお湯を入れるための木製漆塗の食器です。
現代では、懐石料理や、お蕎麦屋で出てくるそば湯の入れ物に使われています。
★飯櫃(めしびつ)
「おひつ」や「おはち」とも呼ばれる、炊けたご飯を入れる器です。
温泉旅館などで見かけることもあるかもしれません。
馬琴日記
江戸時代の後半の大名家では、飾られる雛人形が華やかになったこともあって、
豪華な料理でお祝いをしていたようです。
本来は食べ物を入れないはずの、雛飾りの懸盤膳の中にもきちんとした料理が入れられていたそうです。
そんな中、庶民の生活を記したとされていた「馬琴日記」(曲亭馬琴・著)によりますと、
1834年3月3日の昼食は赤豆飯と一汁二菜、
そして夕食には白酒と煮しめといったような質素な献立で、ひな祭りのお祝いをしていたようです。
曲亭馬琴は「南総里見八犬伝」で知られる、当時としては珍しい、
ほぼ原稿料のみで生活ができたプロの作家です。
明治以降は滝沢馬琴の名前が一般的になりました。
★赤豆飯
小豆飯という説があるようです。今で言うお赤飯のことだったのかもしれません。
ちなみに赤えんどう豆を使っても、似たような色合いの炊き込みご飯になるようです。