五月飾りの弓と太刀
魔除けのために欠かせない弓と矢
魔除けに弓が用いられた由来は、
古代中国の武神である鍾馗(しょうき)様に起源を持ちます。
鍾馗神は健康と知恵を司るとともに、
強い武神として尊ばれ、弓矢で悪鬼や目に見えない
精霊を退治する力があるとされるほか、
占いの道具としての意味も持ちます。
日本には平安時代に伝来し、
7世紀後半頃にはお正月に弓で的を射る
「射的」「大射」や、年占いの神事が盛んになりました。
今日でも神社で行われる流鏑馬(やぶさめ)は、
この流れをくむ儀式です。
破魔矢の由来
弓矢で魔を射る的、またはその競技に
「破魔」という字が当てられ、その矢を「破魔矢」
と呼ぶようになりました。
鎌倉時代にこれらが装飾品として用いられるようになり、
武家や町人などの間で男児の初正月のお祝いに
破魔矢を贈る習慣が生まれたといいます。
太刀は儀式の必須アイテム
刀が実戦に使用するための実用品であるのに対して、
太刀は主に儀式に使用されるものです。
五月飾りに使われる太刀は、全体に太くて反りが大きく、
刀より短いのが特徴です。太刀を脇に差す場合も、
刀とは逆に、上弦の月のように反りの側を
上向きにして差すのが決まりです。
また、魔物は光り物を嫌うと考えられたため、
光り輝く太刀は魔除けの護身具に最適とされたのです。